ほとんどの文明社会で結婚式という儀式は存在していて、日本においても独自の文化として結婚式は古くから行われてきました。
しかし、現代の日本における結婚式は、古来の結婚式とは遠く離れた形になり、洋風の要素を多く取り入れながら年々変化を遂げています。
今回は、結婚式の本質を問うべく、その価値を考えてみます。
結婚式の金額の相場
まずは結婚式に係る料金から。
ゼクシィによると、全国の結婚式の費用の総額は平均で約354万円。
招待する人数は70人くらいが平均だそうです。
これには二次会や結納などは含まず、純粋に結婚式に係る全ての費用。
この金額が高いと感じるのか安いと感じるのかは、個々の金銭感覚によりますが、間違いなく言えるのは数時間のその瞬間のために354万円もの大金を使うということですね。
ご祝儀で成り立つ部分もあるものの、70人呼んだ場合、平均5万円の祝儀でトントン。
祝儀の平均が3万円だったら140万円の出費になります。
どちらにせよ、新婚早々で大きな出費になることは間違いないです。
もともとは祝儀で儲けを出して、その儲けで新婚旅行に行くものだった
ご祝儀という文化があるのは日本だけのようですが、日本の元来の結婚式は集まった祝儀だけで充分に成り立つものでした。
そればかりか、黒字になるのが当たり前で、その黒字になったお金で新婚旅行をし、結婚式に参列した方々にお土産を配るのが普通でした。
しかし、近年の結婚式ではトントンになれば御の字。
黒字になるなんて、よほど親族が金持ちか、質素な結婚式にしたのか、、どちらかです。
結婚式がウエディング事業として活気を帯び、大都市ばかりでなく小さな街でも結婚式場という専門の施設まで乱立しています。
結婚式にお金がかかるようになった原因
まず一番に考えられるのが、初婚の年齢が上がったことによるものです。
20代前半での結婚が普通だった以前に比べ、現在では男女で差異はあるものの初婚の平均年齢は30歳くらい。
もちろん、30代の方が20代よりもお金を持っているし、ある程度の人生設計もできているのでお金を使うことに寛容です。
さらに、初婚の年齢が上がったことにより、ほとんどの人が「他人の結婚式を見ています」。
これはどういうことかと言うと、「他の人の結婚式よりも良い結婚式にしたい」という意識が強くなり、その分だけ準備などの手間と費用が掛かってしまいます。
さらに、結婚式場や無料紹介所などの乱立により、プランナーなどがお金の掛かるプランをどんどん勧めるようになりました。
他にも、以前までには存在しなかった技術(動画を撮影し、その日のうちにエンディングとして放映するサービスなど)も多く増えていったことも原因です。
結婚式の準備
結婚式場は評価の高い施設になると1年先まで予約が埋まっていることもザラです。
新郎新婦は1年もの長い間、準備の期間があり、余裕かと思いますがそうではありません。
働きながら準備を行うため、なかなか進まないのが現実。
当日流す動画の撮影、入場曲の選曲、ドレスやスーツの新調、招待状・・・
挙げれば枚挙にいとまがないのですが、とにかく新郎新婦は口を揃えて「準備が大変」と言います。
結婚式の準備は夫婦喧嘩の雨あられ
結婚式の準備はとても大変です。
折角の休日を結婚式の準備のために割かなければならず、ストレスがかなり溜まります。
新婦が働いてないとしても、男性と決めなければならないことや同時に進めなければいけないことも多いので、新郎新婦にとってかなり負担があります。
結婚式場のプランナーさんに相談して、結婚式場側がやってくれる部分がたくさんあればいいのですが、その分、費用も掛かるわけで・・・
以前は新婚旅行で夫婦喧嘩が多いと言われており、「成田離婚」という言葉が流行りました。
海外に行って、帰ってきたら成田空港で離婚を決意するというような意味があったそうです。
しかし、現在は結婚式の準備が夫婦にとって最初の難関。
当日のたった3~4時間のために、何か月も前からストレス溜めて大金を使って、自己満足するのが結婚式だ!という人の意見も凄く理解できますね。
結婚式を安くするためには
結婚式場はほとんど土日祝日しか営業できません。
平日に挙式する人はあまりいないですからね。
でも、式場で働く人たちは一般的な収入があり、式場を維持し続けるためには土日祝日だけの売り上げでやっていかなくてはいけません。
つまり、1年間に120日程度しかない土日祝日の売り上げで、365日分の売り上げを確保しなくてはいけないんです。
3分の1程度の営業日数ですので、単純に考えれば、あるべき3倍の売り上げを叩きださなければなりません。
つまり、結婚式場で挙式する場合、本来の3倍もの金額を請求されていると考えていいでしょう。
なので、結婚式を安く挙げるためには「結婚式場で挙げない」ということが大前提となります。
レストランウエディングがやはり優秀
披露宴を行うのであれば、やはりレストランウエディングが一番安上がりです。
レストランは平日でもレストランとして機能するため、土日祝日に平日の非稼働分の売り上げを補てんする必要がないので結婚式場に比べて圧倒的に安くできます。
ただし、挙げるならば「ウエディングを事業としているレストラン」がベター。
普通のレストランが披露宴を行っても、ただチープな披露宴にしかなりませんからね。
レストランウエディングの相場は規模や招待人数、レストランの格にもよりけりなので、ハッキリしていません。
ですが、招待人数一人あたり1万円~1万5千円でほとんどの場合が成り立つそうです。
それでいて、評価の高いレストランウエディングは結婚式場と同じクオリティで挙げれるので、やはりどう考えてもレストランウエディングにした方がいいですね。
招待したい人数が100名を越えれば、さすがに難しいかもしれませんが。
ちなみに、レストランによっては人前式も外で行えるところもあるようなので、お近くのレストランをチェックしてみてもいいかも。
最後に、結婚式の価値を考える
たしかに、人生で一度きりの結婚式。
派手に、盛大に、人生の最高の瞬間を迎えたい気持ちもあるかもしれません。
特に結婚に憧れていた人にとっては、その瞬間に全てを注ぎたい気持ちもあるでしょう。
しかし、よく考えてください。
参列される方にとって、たくさん参加する結婚式のたった1回に過ぎません。
どんなに感動する結婚式をしたって、思い出に残る結婚式をしたって、たった数時間のために300万円もの大金を使うのはどうでしょうか。
参列される方も3万円という一般人にとっては大金を包んでお祝いに来てくれます。
あなたの大事な人たち、参加する人すべてがそれぞれ自分の生活もあるのに大金を包んできてくれるんです。
それなのに儲かるのは結婚式場だけで、新郎新婦は大切な人たちから集めた大金だけでは足りないという事態に陥るんです。
結婚式は確かに素晴らしいもの。
一生に一度だし、皆に感動してもらいたい、両親や大切な友達、会社の人たちに日頃の感謝の気持ちも込めて行いたい。
でも、これまで参加した結婚式と比べる必要もないし、新郎新婦の2人が満足する素晴らしい結婚式であれば、参加した人がどう思おうと、それで良いのではないでしょうか。
自己満足のために挙げるのあれば、数時間のその瞬間に何百万円も使っていいと思いますが。
結婚式は新郎新婦のために行うものです。
どうか、盲目にならずにお金ではなくて2人らしい素晴らしい結婚式を考えてくださいね。