乳がんや子宮がん・子宮頸がんなど、芸能人のメディアへの相次ぐ情報開示や、不妊治療を受診する患者の増加によるイメージ緩和など、ここ最近女性器系の問題に向き合いやすい環境になってきているように思います。
とは言ったものの、やはりデリケートなことでもあるので、実際検査に行くのにはためらいがあったり、自分の不定愁訴に対して「まぁ大したことはないだろう」や「時間がないから今度!後回し!」とそのままにしておく女性が大半でしょう。
しかし!!!
大事になってからじゃ遅いんです。
絶対に、あの時にこうしておけばよかった…、知っていれば…って後悔する人もいるはず。。
そうなる前に、予防になることも含め、知っておいたほうが何かと自分にとってメリットになることってありますよね。
今回は、意外と知らないピルの魅力についてお伝えします。
ピルってどんな薬?
経口避妊薬で知られるピル。
エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つのホルモンが配合された薬です。
意図しない妊娠を防ぐための薬として、一般的に婦人科医の処方のもと服用されています。
避妊薬として利用する以外に、生理痛の軽減やPMS(月経前症候群)の緩和、
生理不順の改善など女性の不定愁訴の改善がみられる為、服用する女性が増えてきています。
ここ数年では、子宮内膜症の予防と改善に効果があるとして、婦人科医も推奨し、保険適応もされるため服用しやすくなっています。
どうしてピルを服用すると避妊の効果が生まれるのか?
きっとそう疑問に思う方、不安な方もいらっしゃると思います。
先ほど、ピルに配合されている2つの成分を説明しました。
エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)。
この2つは女性ホルモンです。もちろん女性のからだで生成され、なくてはならないホルモンです。
エストロゲン(卵胞ホルモン)
排卵するために必要なホルモン
プロゲステロン(黄体ホルモン)
妊娠を維持するために必要なホルモン
ピルはこの2つのホルモンと同じものが化学合成されたもの。
排卵後と似たホルモン状態を作り出すことにより、排卵が起きません。
具体的に言うと、[脳下垂体]や[視床下部]に『排卵はもう済みました(ホルモンが分泌された)』と錯覚を起こさせ、それ以上ホルモンは分泌されないのです。
ホルモンが分泌された=妊娠した
と排卵を起こすホルモンがストップされる仕組み。
そしてもうひとつは、ピルの服用中は、ピルに含まれる黄体ホルモン剤(プロゲストーゲン)が作用し、子宮内膜が十分な厚さにならず、着床に適する状態にならないのです。
結果
排卵抑制により卵子が排卵されないため、受精卵はできず妊娠をする可能性が限りなく低い。
仮に排卵がおこっても着床する場所が十分ではないため、妊娠をする可能性がこちらも低い。
というのがピルで避妊効果が生まれる理由です。
そんなピルにもいくつかの種類があります。
ざっくりと説明を。
□ 低用量ピル (卵胞ホルモン剤の容量が50μg未満)
大体、低用量ピルの卵胞ホルモン剤の容量は、20μgから40μg程度になっています。
□ 中用量ピル (卵胞ホルモン剤の容量が50μg)
□ 高用量ピル (卵胞ホルモン剤の容量が50μg以上)
中用量ピル・高用量ピルは、主にホルモン異常など、病気に対しての処置や治療に使われます。
病気に対して処方されての使用になりますので、保険適応の対象になります。
中用量、高用量ピルは、医師により必要量のみの処方が大半です。
ピルは21日間服用して、7日間は服用はせずに休むという28日サイクルで使用します。
*画像出典:山元病院 京都市中京区 産婦人科 小児科 / 産科・婦人科
低用量ピルは1シート21錠と28錠のものがあります。
21錠のものは、3週間服用して1週間は休薬(薬を飲まない)
28錠のものは、28日間(4週間)通して服用。内、最終週の7日分はフラセボ(プラシーボ)という偽薬
21錠タイプ、28錠タイプどちらも効果は全く同じです。
28錠タイプは28日間毎日服用し、22日目~28日目のフラセボ期間も服用するため、
飲み忘れの心配がありません。
低用量ピルは、黄体ホルモンと卵胞ホルモン(有効成分)の配合量が同じものと異なるものがあります。
□ 一相性ピル…配合量が変わらず同じ
日本で認可されている一相性・低用量ピルはマーべロンとオーソM
□ 二相性ピル…途中で2段階に分けて配合量が異なる
□ 三相性ピル…途中で3段階に分けて配合量が異なる
日本で認可されている三相性・低用量ピルはトリキュラー、アンジュ、シンフェーズ、ノリニール、オーソ777、トライディオール
読み方は、一相性・・・いちそうせい
生理周期による女性ホルモンの変化に合わせてホルモン量や比率を変化させた二相性・三相性ピルのことを、段階型ピルといいます。
そして、低用量ピルは、黄体ホルモンが開発された年代や順番によって、
第1世代、第2世代、第3世代と3種類に分けられています。
第1世代ピル
第1世代ピルは、ノルエチステロンという黄体ホルモンとして1番最初に開発されたものを使っているピルです。
■オーソM-21錠
■オーソ777-21錠
■シンフェーズT28錠
■ノリニールT28錠
■ルナベル配合錠LD/ルナベル配合錠ULD
第2世代ピル
第2世代ピルは、レボノルゲストレルというホルモン製剤を使っているピルです。
1970年代に黄体ホルモン量を抑える目的で開発されました。黄体ホルモンの総量は低く抑えられ、効き目は強いという特徴があります。
■トリキュラー錠21/トリキュラー錠28
■アンジュ21錠/アンジュ28錠
■ラベルフィーユ21錠/ラベルフィーユ28錠
■リビアン28
■ロエッテ
第3世代ピル
第3世代ピルは、1980年代に、ゲストゲン・デソゲストレル・ノルゲスチメイトなど、第2世代ピルの効き目を維持しながらも、アンドロゲン作用(男性化作用)による副作用を軽減するために開発されたホルモン製剤を使っています。
■ファボワール錠21/ファボワール錠28
■マーべロン21/マーべロン28
■ノベロン
■マーシロン21/マーシロン28
様々な種類のピルがあります。
病院によって取り扱っているものが違ってくるとは思いますが、服用するにあたり、やはり自分に合う合わないのピルとの相性もあると思いますので、お医者さんとよくご相談を。
冒頭にも記載したように、ピルには服用するメリットが多数あります。
◎ほぼ確実な避妊
◎生理痛軽減
◎生理不順改善
◎PMS(月経前症候群)緩和
◎月経量減少
◎ニキビ・肌あれ解消
◎子宮内膜症の予防と改善
◎生理日のコントロール
◎卵巣がんの予防
◎子宮体がんの予防
◎骨盤内感染症の予防
ピルを服用することにより、子宮内膜があまり厚くならないうちに月経が起こるため、出血量が軽減され、月経のときに起こる子宮の収縮も抑えられるので痛みが軽くなるのです。
過度な負担が減ることにより、子宮内膜症の予防・改善の可能性も大いにあります。
また、ピルを服用すると、ホルモンのバランスが改善され、状態が安定し、ニキビなどの肌荒れ改善、多毛症を減らす効果もみられます。
そして、排卵を抑えることにより、卵巣の損傷が減るため、卵巣がんなどのリスクが低下したり、
黄体ホルモンの働きにより子宮内膜が保護されるため子宮体がんのリスクも下がるのです。
海外では認知度や普及率も高いのに対して、日本ではどちらかというとマイナスイメージのほうが強いピル。
ただ漠然としたイメージでの不安を持たずに、医師に相談してしっかりとピルを理解し、
使用方法を守れば、今お持ちの女性特有のお悩みも、少しは改善されるメリットがあると思いますよ。